描きゃいいってもんじゃ…《改訂・再掲》- Do you draw everything? -

私がスケッチに行って最初にすること。

 まず、描きたいところ描きたいものを探し、場所を決めた後、 

1．太陽の位置（影の方向）の確認 

2．自分の視点の高さ（水平線）の確認 

3．“どう描かないか”（演出）の確認 

そして、最終的な完成イメージを思い浮かべる。

この三点を欠かさず確認してから構図を決めて描き始めるが、場合によってはこの三点が最初にあって、その条件にあった場所を探すこともあったりする。 

特に三番目の“どう描かないか”を現場のリアルな景色を前にして判断するのは大変難しい作業だ。 “描かない”ということは、ある意味で現実にあるものを拒否することだから、確かな“完成イメージ”と“決断”が不可欠になる。

“描かない”ということは、“積極的”な創造行為ということができると思う。 

それに対し、あるものを網膜的（視覚的）に “写しとる”だけの作業は、“創造”とは異なる行為 だと私は思っている。

描きゃいいってもんじゃないってこと。

この話をすると 『まず描けるようになってからでしょう？』 とか『描ける人が言うこと』 という方がいる。 でも私はそうは思っていない。“描けること”はもちろん重要な要素だが、“描かないこと”とは別物だ。同時並行で勉強しなくちゃいけない。

描く描かないの判断をしながら、揺るがない自分のイメージに向かって画面作りをしていくことで、最終的に自分にとっての“いい絵”になっているかどうかが一番重要であって、“本物そっくり”かどうかは主たるゴールではないのだと思う。

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