先日の“空白恐怖症”に引き続き “輪郭依存症”というテーマで書こうと思ったら、1年ほど前に既にそのテーマで書いていたので手直しして再掲することにした。
絵は、輪郭線(線画)を描いてから塗るものだと思っていないだろうか?
あるいは、“カタチ”とは輪郭のことだと思ってはいまいか?
私は、そうは思わない。
輪郭線はなくてもいい。
輪郭がなくても形は浮き上がる。
※レオナルド・ダヴィンチ曰く
『「物体の輪郭はそれの一部分ではなくて、それと接する他の物体のはじまりである。
かくのごとく交換的に、何の妨害もなく前者と後者とは互いの輪郭となりあう。
したがってこのような輪郭は、いかなるものの部分でもないのだから、何ものをも占めていない』
しかし、子供のころからの習慣として、鉛筆で下書き(線画)を描いてから色を塗る癖が付いている方がほとんどだと思う。
※小学校の図工の時間に 「鉛筆で“カタチ(輪郭)”を描いてから、色を塗りましょう」 と教わった記憶がある。幼稚園の時はクレパスで一気に塗っていたのに。 小学校の図工の“後遺症”なのかな?
実際、輪郭線がなくても人は形を認識できる。
私の場合、輪郭線を描くのは、白く残さなければいけないところを忘れないように鉛筆で描いておく... その程度の認識だ。 つまり、塗らないための境界線という認識。
理由はいくつかあるが、輪郭をしっかり描いてしまうと…
強力な“線の強制力”に負けて“塗り絵”しかできなくなってしまう し、 どの輪郭線も同じ強さで単調になってしまうだろう。
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輪郭線は境界線。この“線のおまじない=結界”は超強力!
どうしてもはみ出さないように細心の注意を払っている自分に気がつくだろう。これが画面全体を支配すると、とてもかたくるしい絵になってしまう。
私は、「“輪郭はカタチのほんの一部”なので、あってもなくてもいい。必要な時だけ際立つ方がドラマチック!」と思っている。
だから、最初は輪郭のないモヤモヤした色の下地を作っておいて、後から必要なところだけ鉛筆で輪郭を描いてネガティヴペインティング(塗り残し)で “彫り起こすように”際立出せていったら、と思う。
あるところはモヤモヤなまま残してもいいかもしれない。
ところが最初にしっかり輪郭を描いてしまうと、もうその結界の呪縛にあってモヤモヤにはできなくなってしまう。なぜなら透明水彩絵の具は後戻りできないから。
このモヤモヤが “雰囲気=Atomosphere” の重要な要素であることを説明している教本はないかもしれない。
そして、実はこのモヤモヤこそ水彩画には有効だと思う。そのあいまいさが心地よさの源なんじゃないかと。
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