雨続きでなかなか外に描きに出られない今日この頃…。
昨日に引き続き、スケッチでよく間違える奥行きと目の高さの錯覚について再度確認しておこうと思う。
静物でも風景でも、奥行きを縦の長さと勘違いする方がたいへん多い。
ちょうど10年前、
パリ・セーヌのほとりで描いた思い出深い作品で説明してみよう。
手前の船から、橋、シテ島の奥までたぶん1kmくらいあると思うが、川面近くまで降りて描いているのでセーヌ川の喫水線(赤い線)は直線に近い微妙なカーブに見える。
これも、腰越から江の島方向を描いた7年前の懐かしい作品。
江の島を望む海岸線も、江の島まで何キロかあって、上から見たら縦に長い海岸線かと思うが、目線が低いのでこんなにぺちゃんこに見ている。
実際はこんなに長い海岸線。
これを上のように縦を圧縮して描けるかどうか。
上から見たらこんな形に並んでいても、視点が下がるとほぼ直線に近くなったりする。
この奥行きを上下の長さにしてしまうと、海や地面は縦に起き上がって、いくら遠くをぼかしても薄く描いても奥行きが出ない結果になってしまう。
舟を前後から描く時も、『縦に長い』という先入観からどうしても縦長に描いてしまうし、並木道が坂道になってしまうのも同じことだ。
上空からドローンで見たように描いてしまうのは、脳が勝手に修正しているからだと思う。
錯覚や思い込みに惑わされない確かな観察力を持つことで臨場感のある空間が表せるようになるだろう。
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