『ついつい描き過ぎて濁ってしまうのですが、 何かいい解決方法はありませんか?』
という相談をどこに行っても受ける。
簡単。 描かなければいいのだ。
描き過ぎたのだから、描かなければ解決なのだ ・ ・ ・
というのは、ちょっと簡単に片付けすぎか。
まず、対象に向かった時にどう考えるか、で結果は大きく違ってくると思う。
つまり、
『さぁ、これをどう描こうかな。』と考えるか、
『さぁ、これをどう描かないでおこうかな。』 と考えるか。
こう言うと、『それは描ける人の言葉。描けるようになってからでしょ。』 と片付ける人がいる。
それを聞くたびに私は思う。
『いつ描けるようになるのですか?』
“描かないこと”も“描くこと”のうち。
省略や取捨選択が自在にできることは、同時進行で勉強していかないと
“ただの全部描く人”になってしまうのではないだろうか?
さて、描き過ぎてしまう理由はいろいろあると思うが、 私は、
『自分の腕に“自信”があるから』 だと思っている。
イメージも計画性もないまま 『描いていれば、なんとかなるだろう』 という根拠のない“自信”だ。
ハッキリ言って、透明水彩画に関してはそれではどうにもならない。
もう一つは、透明水彩絵具の特性を誤解しているからかもしれない。
『透明水彩は薄い色を重ねて濃くしていくものだ』 と思っていないだろうか?
だから手数が増えて濁るのだと思う。
“描かない”とはいっても、何もしないわけにはいかないわけだから、
“どこを、どう描かないか” が重要になる。
まず、“どこを”だが、
私の場合は、おおざっぱに言うと、
①主役以外(もちろん序列はあるが)
②よく見えないところ(陰の中とか)
③いらないところ(容赦なく切り捨て)
描くところと描かないところのメリハリを効かせるのが主な目的なので、
意識は常に“鳥の目”で、主役の周辺は“虫の目”で!
描けば描くほど“差異”がハッキリしてくるように心がけている。
(これを“描き込み”と言う)
全体が見えていないと、描けば描くほど全体が同じ調子、同じタッチ、同じ手数になってきてドロドロになってしまいがち。(これを“描き過ぎ”という)
“描かない”といっても、いろいろある。
そのバリエーションは描いて行く中で工夫しながら増やしていくとして、
まずは差異に気づく意識が先だと思っている。
もしこれを読んで、『上級者の言う事。描けるようになってから。』というアマチュアの方や、
『10年早い!』と言う指導者の方がいたら、 お尋ねしたい。
『今後、そんなに時間はあるんですか?
10年後、どうなりたい?
描かないことも描くことのうちではないの?
同時進行ではないですか?』
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