透明水彩絵の具の組成と特徴を知れば、
おのずと透明水彩らしい絵の具の使い方が見えてくるはずだ。
どういうことか、簡単に説明してみようと思う。
あなたは、絵は筆で描くものと決めつけてはいないだろうか?
透明水彩は紙の上で動く絵の具だから、
自然の力(水・空気・重力など)をうまく味方に付けると無限の可能性が広がるのが楽しい!
私は、筆でこねくり回してなんとかねじ伏せられるほどの“腕”はないと思っているので、できるだけ水や紙(自然の力)に仕事をしてもらうように心がけている。
自然の力に抗ってもいい結果にならないんじゃないかな。
まさか、自分の腕(筆)でなんとかできると思ってるんじゃ…。(笑)
そう考えると、しばしば筆は単なる絵の具と水の供給用の道具になったりする。
大量に必要な時は直接パレットや解き皿から紙に持っていったほうがいい結果になったり…。
もし、あなたが“適量”の絵の具を用意して、ある面積を塗り終わったらちょうど絵の具がなくなったとしたら、それは“適量”ではなく“不足”しているということになる。
それでは水は仕事をしてくれていないのだから。
『塗料が多すぎて水分が足りないと、流れることのない厚い粘着性のミックスができます。』
ロバート・ウェイド
濃い色、暗い色を作るとき、ただ水の量を減らすだけでは絵の具がベタベタになり仕事をしてくれない。せっかくの透明水彩画がガッシュ画になってしまう。
※ 透明水彩絵の具とガッシュの違い (再度参照)
濃い色も暗い色もベタベタにしてはいけないということだ。
水も絵の具もたっぷり使って紙の上で動くように溶くことが肝要。
筆には垂れるほど、パレットには十分余るほど絵の具を準備して紙の上を流れるようにして初めて水が仕事をしてくれるのだと思う。
ウォッシュのコツはこれにつきる。
この作家たちのやっていることが何かを示唆しているように思う。
Lian Quan Zhen (China)
ファーストウォッシュで彼がするのは、絵の具や水を供給するだけ。
Viktoria Prischedko (ドイツ)
彼女の筆はまさに絵の具を紙に運ぶ道具。水に仕事をさせる名人だね。
Tim Wilmot
ファーストウォッシュの色とその後のネガティヴペインティング(塗り残し)の効果!
Jim McVicker
垂れたってお構いなし。 重ねてもバルールが整っているから陰が濁らない。
あなたは、筆でこね回して 『時間をかけて頑張ればなんとかなる。』 と思っていなかっただろうか?
ならないんだなぁ、これが。
『ちゃんと手を抜き、こつこつとサボる』 → あとはセンスで勝負!
ってところが水彩画の醍醐味だと思っている。
水彩画では、一枚の中で“頑張る”と罠にはまる。
書道と一緒。
頑張るなら、枚数で!
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水の力で描きたいなぁ
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