新しい水彩画表現をけん引する世界的巨匠、A・カスタネット氏が来日している。
最初に私が彼の作品を観たのは、Facebookを始めた時だから、かれこれ8~9前に遡る。
その時のショックたるやすさまじく、しばらく(なぜか)笑いが止まらなかったのを憶えている。
さっそくアマゾンで本を探し、“PASSION”を購入。
さらに数年後,”BEYOND TECHNIQUE”も手に入れた。
今ではどちらもなかなか手に入らないらしい。
彼から学んだことはたくさんある。
たくさんのヒントを咀嚼し吸収していく中でいろんなことに気付き力をもらった。
一挙手一投足からにじみ出る水彩画の楽しさや凄さが、私にはたまらなく新鮮だった。
もちろん、私の ‟水彩画” に関する表現手法やものの見方も、彼の影響が大きい。
画塾やカルチャーセンターの講座などで配布している透明水彩のポイントをまとめたレジュメも私が彼の作品から学んだことが多い。
1.プロセス
透明水彩画の場合、手順は重要だ。 透明水彩絵の具は明るい色を暗い色の上には乗せずらい絵の具。 だから、それぞれの場所の明るい色を先にウォッシュ(平塗り)しておいて徐々に 暗いところ細かいところと進めればリスクは少なくなる。
既刊 『水彩風景手順トレーニング』 (グラフィック社刊)
2.ト―ナル・バリュー(バルール)
色の三要素、色相・彩度・明度の中で、特に明度(一部彩度も関連)をコントロールすること。 誤解を恐れずに言えば、自分の絵をモノクロ写真にしても明暗の関係が正しければバルールはほぼあっていると言える。 海外の水彩ハウツー本には頻繁に登場。
当塾 ニュートラルチント一色でのデモンストレーション
3.断捨離(省略・単純化)
見たものをすべて描くわけではない。 大事な部分をひきたてる ために、“描かない部分” をいかに魅力的に水彩画らしく表現するかが大事だと思う。 こう言うと『それはちゃんと描けるようになってから』 という人がいるが、私は『それはいつですか?』 と聞く。私は、描くことも描かないことも同時に勉強するのが良いと思っている。
4.ハードエッヂ と ソフトエッヂ
要は輪郭をクッキリするかボカすかという事。これだけでも前後感、立体感、質感などを描き分けることができる。 どこをボカシてどこのエッジを立てるか…。 それはそれぞれ考えてほしい。
5.ネガティブ・シェイプ と ポジティブ・シェイプ
塗残すか普通に描くかという事。 明るいものは周辺の暗いもので塗残して形(ネガティブ・シェイプ)を浮き上がらせる必要がある。明るいバックに暗いものを描く時はふつうに描けばいい(ポジティブ・シェイプ)ので、そのコンビネーションが水彩画の魅力でもある。
この5つの技を適材適所に使いこなせればきっとあなたの中で何かが変わると思う。
これら技法以前に水彩画に対しての情熱と明解な完成イメージ(ゴール)を持つことが大前提であることは言うまでもない。
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