“イイカゲン”とか“テキトウ”という言葉はふつう悪い意味合いが強い。チャランポランで無責任なイメージがどうしても先に思いついてしまうよね。
でも私は、水彩画を描く時いつもこの言葉が頭をよぎる。
“良い加減” “適当” と書くとその真意は容易に分かっていただけると思う。
私は、水彩画というのは端から端まで時間をかけて塗りつぶすような“気まじめな絵”ではないと思ってる。
“技術で描く” というより“センスで描く” という感じかな。
油絵では白いキャンバスがそのまま残っているようなことはあり得ないと思うが、水彩画ではなにも塗っていない白い紙が美しく見えることが重要な要素であったりする。
“白い紙をきれいに見せるために色を置く”
とさえ言えると思う。
同時に、水や紙や重力や気候や時間に大きく依存する水彩画においては、多少の人間らしい誤謬(ごびゅう)は許される… というより魅力にさえなるともいえる。
だから、まじめに“塗り絵”をするより“適当に”“良い加減”な筆さばきで描きあげていくのがよいと思っている。
そして、“ナントナク”“イイカンジ”に仕上がるのがいい。
この力の抜け加減こそ、水彩画の極意かもしれない。
水彩画には“癒し”や“和み”を求める人は多いと思う。水彩画に“苦労の痕跡”や“努力の押し付け”は見たくないのではないか。 少なくとも私はそう思う。
何の世界でも“達人”は、力(リキ)まない。
苦労するなら一枚の作品の中ではなく、枚数で苦労すべきだと思う、 お習字のように。
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