ある教室での会話
塾長 『今日帰る時に、どんな絵を持って帰りたいか(完成イメージ)想定してから描き始めてくださいね~。』
塾生 『え~ !? それ先生が決めるんじゃないんですか?』
塾長 『えっ !? 僕が? 決められないですよ~… これはあなたの絵じゃないですかぁ~。』
塾生 『そうなんですかぁ…。先生の言うとおりにすればいいんじゃないの?』
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私は、絵を教えるに際し、決してやってはいけないと思っていることがある。
それは、
生徒さんの感覚(才能)を潰してしまうこと。
常々講習の中で、私は生徒さんそれぞれの才能に脅威を感じるとともに、「この才能を伸ばすことはあっても潰すようなことは絶対にしてはいけない。」と思う。 当然といえば当然なのだが、意外とそのつもりもなくその才能を潰している指導者も多いのではないだろうか?
やり方一つでせっかくの才能を消し去ることは簡単だと思う。
先日も紹介した堀文子さんも “◆皆さん、褒めてくださいます。貶す方はおりません。危険なことです。◆大抵は若い時にちやほやされて、ダメにされるんです。◆自分を堕落させるのもよくするのも自分なんだ。” と言っている通り。
例えば、一見うまくなったように見えるやり方を手取り足取り教えて、褒めそやせばいいのだ。いわゆる“褒め殺し”だ。
このやり方は、早急に結果だけを求める今の風潮と相まって、さまざまな方面に広がっているように思えてならない。
ある小学校の先生とお話しした時、「学級平均点が向上すると担当教師の査定が上がるので、答えに至る最短の“解き方”しか教えない教師が増えている。」と言っていた。
「手取り足取り丁寧に答えに導かなければ生徒はついてこれない」と思うのは指導者の自信の無さの表れではないのか。これでは、生徒も先生も、つぶれてしまう。
これと同じことをテレビの絵の講座でも感じる。あまりにも具体的、あまりにも一元的で、“描き方”(方法論)だけを教えていくやり方は、“個”の発露を根底からつぶすやり方にしか見えない。
いかに感度を研ぎ澄まして自力で気付いてもらうか。
それが、最も大切なことだと思っている。
“学び”“気づき”のスイッチを入れるのが指導者の力量だと思う。
※ この画像は直接記事とは関係ありません。(パレットの上で分離した絵の具の模様です)
この手の罠は、今の時代ではいたるところにあるんだと思う。
甘い言葉に取り込まれないように気をつけてほしい。
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笠井 一男 水彩画展 ~Inner Journey (内なる旅路)~
コロナ禍、全人類が生涯初・世界同時に辛抱を強いられる中、半強制的に“自己陶冶”に集中できる不幸中の幸い。好奇の目を内に向け、発見、醸成、洗練を繰り返す楽しさを味わう。 絵描きであることに感謝する一年の表出。
期間; 4月19日(火)~24日(日)
11:00am ~ 18:00pm (最終日 ~ 16:00pm)
場所; ギャラリー コンセプト21
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11月の講習から、午前・午後の二部制になりました。
まだ午前の部に空きがあるようです。 ご興味のある方はお早めに。
詳細およびお申込みは
渋谷ファッション&アート専門学校 公開講座 まで
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まずは、透明水彩の基本的な知識や技法について実演解説した後、作品制作の過程を説明付きで観て頂きます。
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多くの方のご参加をお待ちしています!!!
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【予告】
笠井一男 水彩画展 - Inner Journey (内なる旅路) -
2022/4/19 (Tue) ~2022/4/24(Sun) at ギャラリー青山コンセプト21
コロナ禍、全人類が生涯初・世界同時に辛抱を強いられる中、半強制的に“自己陶冶”に集中できる不幸中の幸い。好奇の目を内に向け、発見、醸成、洗練を繰り返す楽しさを味わう。
絵描きであることに感謝する一年の表出。
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笠井一男・著 定価¥2,200.-(税込み)
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