(過去に何度も書いてきたが、改めて記しておく)
私は、風景画を描く時、“現場主義”というほどの執着はないが、写真を使わなければ絵が描けないということには大きな疑問を感じる。
現場で仕上げまでする時もあれば、スケッチだけしてアトリエで仕上げる場合もある。あるいは、撮ってきたものを参考にしながら描くこともある。
ただ、写真は自分で現場に行って撮ったものに限るし、あくまで参考資料として使う。
決して“写真の奴隷”になることはない。
写真が無いと絵が描けないとしたら…。
私は、少なくとも、絵の楽しさ・深さが半減することは間違いないと思うし、そもそも絵を描くという行為の本質からどこかしら脱線しているような気がする。
風景はもちろん、静物や人物を描く時に、現場で実物を直接描けないという人の作品が魅力的であるとは思えない。
写真を参考に描くとしても、現場・実物を体感として描くことができるからこそリアリティを引き出せるものと信じている。
また、写真に近付けることが絵を描くことの目的だとしたら、なんと不毛な行為なことか。
写真などなくても手と筆と絵の具があれば、描くことはできるはずだ。 上手く描けないなら練習をするだろう。その過程自体が絵を描くことの楽しさではないのだろうか。
写真を真似て、いきなりうまくなったような気がしても、それは絵を描くことの表層をなぞっているにすぎないのだと思う。
私は、絵はもっと深遠で価値のあることだと思っている。
写真という“目”を借りてまでして描くのには、やむ負えない理由がある。私の場合は、時間的制約、場所的制約などがある時は写真を参考程度に利用する。
これはまちがいないことだが、 私の好きな作家で、写真がないと描けないという作家は一人もいない。
もちろん、ダ・ビンチやフェルメールがカメラオブスキュラを使っていたことは確かだが、すべてをこれに依存していたわけではなく、“流行りもの”としての好奇心や 『インスピレーション素材』 であったり、『確認用』 であっただろうと推測できる。 その後の絵画制作に一般的に使われてはいない。
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