水彩画を描く者、 謙虚にならざるを得ないいくつかの理由
最初に断わっておくが、私はほとんど無宗教だ。
実家は日蓮宗だけど。
私は、「水彩画は、自然への敗北宣言をしてから始めるべきだ」と思っている。
なぜかと言うと、
自然の現象を生かしながら描いてこそ水彩画
と思うから。
だから、描いている過程で 『思い通りにならない』 『こんなはずじゃなかった』 ということは日常茶飯事で、そのコントロールの効かない時間帯があった時の方がいい作品になったりする。
前半戦で含みが良くて腰がないリス毛を使うのは、自分の“手の痕跡”を残したくないのと、“手先”の自由を奪い自然の力を引き出そうとしているからかな。
反対に、自分の筆のコントロールが効くように、少なめの水で“適量”の絵具だけ溶いていると自然は力を発揮してくれない。
水彩画のことを知れば知るほど、分かれば分かるほど、自分の腕(筆)でなんとか出来ないことだらけなのを痛切に感じ、『自然の力に任せた方が美しい』 という“敗北宣言”をせざるを得なくなるのだと思っている。
水彩画ファンは自然を愛し、謙虚で平和主義者が多いのはそのためだろう!(笑)
しかし、経験を重ね、その道にわずかな光を見出したころ、とかく人は謙虚さを失い思いもよらない傲慢な態度をとってしまったりもする。
少しだけ身に付いた“技”を経験の浅い人と比較し、過信し、優越感を感じているからなのか。
そういう人をたまに見かけると、自分と照らし合わせ、己に向かって『初心忘れるべからず。』と唱えている。
第一回目(2005年)の個展のはがきに使った作品。
この時の気持ちを忘れないようにしたいと思っている。
この時の気持ちを忘れないようにしたいと思っている。
上には上がいる。
この程度で過信などしているひまもないし、過信どころか、知れば知るほどその世界の深さを知り謙虚になるのが“学びのメカニズム”が起動している証拠だと思う。
初心にもどり、今何をすべきか、何が問題なのかを検証し続けることは、“上達” には必須だと確信する。
仮に誰かに何かのタイミングで 『初心に戻れ。』 と言われたら、一人前扱いしてくれた証拠だと思って喜ぶべきだと思う。
もし万が一、その一言に自尊心を傷つけられたと思うなら、その人は “学び”のスタンスにはない。
塾長の一言
『初心を忘れるのは、未熟な証拠。』
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■2019年4月18日(木)~4月24日(水)
笠井一男 水彩画展 (個展)
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<P38>の “7つのインデックス” を中心にページを繰っていただくとより理解が進むようにできています!
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